特発性過眠症と共に。

特発性過眠症と共に生きる。🚢☁☁

超個人的な元後輩との話

私が働いていて、かろうじて動けていた時のこと。超個人的な元後輩との話。私にはひとつ年上の女性の後輩がいて(私が先に入ったので、彼女は年上だけど後輩でした)その子は私の病気のことも知っていて、私が寝るたびに起こしてくれていた。正直性格や考え方は違うし決して仲が良いというわけではなかったけど、私は彼女を信頼していた。それは不器用ながら全力で突き進んで行こうとする彼女を見てきたからで、ベクトルは違えど自分と似たものを彼女に感じたからかもしれない。お互い強情というか譲らない部分があったからわかり合えてたわけじゃないけど、ある部分では信頼関係を築くことが出来たんじゃないかなと今でも思っている。

私は寝ながら(一つ前のブログにも書いたように寝ていても周囲の音や声は聞こえていたので)「○○さんは(私のこと)途中寝たりもするけど、ちゃんと大事な日には来るし、何があってもあの人は来ると思う」って彼女が私のことを話しているのを聞いたことがあって。なんだか無性に嬉しかった。


たぶん、過眠症の人は寝ちゃったりうとうとしたり、時には遅刻したり(しない方ももちろんいらっしゃいます!)するけれど、さぼるとか怠けるとか手を抜こうとかそういうものとは対極にいると思う。とても真面目で、傷ついてきた分優しい人が多いように感じる。痛みがわかるからだろう…。とても優しい。精一杯やりながらそれでも病気の症状に抗えなくて一番苦しくて自分を責めているのはなにより自分なんだと思う。


ある日の帰り道に電車で彼女と途中の大きな駅まで一緒に帰ったときに彼女がふと「寝てるときって、どんな感じなんですか…」って私に聞いた。私は寝てしまう状況を海に例えて話した。「耳は聞こえていて、両耳だけが切り離されて水面にあって、体は海の底に沈んでる感じ。周りの音やみんなが話している声は聞こえるから、必死にもがいて上がろうとするんだけど体は動かなくてどんどん沈んでいく。いつも寝てしまうときはそんな感じ」と答えた。そしたら彼女は「…○○さんは寝てるときもどうにか起きよう頑張ってるんですね…」って私に言った。私は「寝ちゃってるときも頑張ってるんだね…」っていう彼女の言葉に泣きそうになった。そんな風に「寝てるときって、どんな感じなの…?」って聞かれたのは初めてだったし、話しながら自分は寝てるときも海の底で必死にもがいているんだって初めて気づいた。きっと私だけじゃなくて、過眠症の方はみんなそうなんじゃないかなって思う。


それからまもなく私は療養せざるを得なくなり…。しばらくして後輩は辞めることになり、私の後輩ではなくなった。会うことも出来ず。私は離れていく後輩を引き留めたかった。実際引き留めたけど、彼女の思いは変わらなかった。後輩は自分のことが嫌いと言っていた。私は後輩に伝えたかったけど、伝えられなかったことがあった。今だったらもっと違う風に言えたのにって思うんだけど、あのときの私は辞めていく後輩を責めるようなことしか言えなかったしどうして辞めるのかもわらかなかった。まあ、私がわかる必要はないのだけど。でもわかりたかった。

後輩は苦しかったんだなって今になって思うことがある。もっとああしていれば、あんな風に接していればって思ってもどうしようもないんだけど。人間ってこんな風に過去に対する後悔を抱きながら生きてくのか…?って思ったりしている。今どこかで後輩だった彼女が元気にしていたらといいなと思う。